岩尾寺にて   副教会長   
 先月号の巻頭言にもありましたが、猛暑の中、「お遍路さん」に行かせていただきました。とはいっても私たちのお参りは「マイカーお遍路さん」のうえ、区切り打ち(何回かに分けてめぐること)であって、「歩きお遍路さん」のことを思えば、快適に楽にお参りさせていただけていることをありがたく思い、すれ違う「歩きお遍路さん」の無事成就をお願いさせていただきながらのお参りでした。

 さて今回お参りさせていただいた16の札所の中のひとつ、45番岩屋寺ですが、山岳霊場として厳しい修行を行う場所だったそうです。車で横付けできず、ふもとの駐車場から石段・坂道を登って行かなければなりません。駐車場には徒歩20分と書いてあって「楽勝」と思うのですが、高原にあって涼しいとはいえ暑さと登りでくたくたで、教会長に先に行ってもらい、自分のペースでたどり着いた時には足がパンパンでのどもカラカラでした。お参りさせていただいた本堂や大師堂、納経所は迫りくる岩の麓に建っていてまさに修行の場といった感じでした。教会長も修行の場のひとつ、法華仙人堂跡に続く木製のはしごを登っていましたが、後からお参りに来られた方が、その勇気に驚いているほどでした。

 そんなお参りさせていただくのにも大変なお寺に杖をついたご老人がお参りされていました。もちろん同行されていた方は2〜3人いらっしゃいましたが、あの急な道を登ってこられたかと思うと、その何としてでもお参りしたいという願いの強さが伝わってきて、感動すら覚えました。その方々とは挨拶をさせていただいただけでしたが、穏やかにお返し下さり、あの坂道をゆっくりと降りていかれました。たった数秒でしたが、神様が願いを持つことの大切さを教えてくれるために出会わせてくれたご縁だったのかなと思っています。

 他にも色々なことを体験し、色々なことを思いながらのお参りでした。「お遍路さん」は最後に一番札所に戻るから、自分のことを振り返るには最適なんだと聞いたことがあります。観光などはしていないけれど、結願を願い、その時どんなふうに思うのか楽しみにしていきたいと思います。


 

  「和らぎ」バックナンバーへ